お役立ち!コラム
2016.03.23
『専従者給与』と『専従者控除』について
所得税の確定申告が終わり、ほっとしていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
さて、個人事業の申告において、『専従者給与』又は『専従者控除』という言葉を耳にされたことがあると思います。今回は、上記について基本的な事からご説明をしていきたいと思います。
生計を一にしている配偶者やその他の親族が納税者の経営する事業に従事している場合、納税者がこれらの人に給与を支払うことがあります。これらの給与は原則として必要経費になりませんが、次のような特別の取扱が認められています。
その特例は「青色申告者」の場合と「白色申告者」の場合とで、違いがあります。これらの違いと要件等を述べていきます。
青色申告者の専従者給与
青色事業専従者給与として認められる要件は、次のとおりです。
1)青色事業専従者に支払われた給与であること。
青色事業専従者とは、次の要件のいずれにも該当する人をいいます。
イ 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
ロ その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。(15歳以上でも学業に専念する大学生・高校生は原則として専従者になれません。)
ハ 年間6か月(…つまり2日に1日以上)を超えて、青色申告者の事業に専念していること。
2)「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出していること。
提出期限は、青色事業専従者給与額を算入しようとする年の3月15日(その年の1月16日以降、新たに事業を開始した場合や新たに専従者がいることとなった場合には、その開始した日や専従者がいることとなった日から2か月以内)までです。
この届出書は国税庁のホームページからダウンロードできます。
3)届出書に記載されている方法により給与が支払われ、その記載されている金額の範囲内で支払われたものであること。
4)青色事業専従者給与の額は、労務の対価として相当であると認められる金額であること。
この金額は、同業種などの給与を参考に、仕事内容に見合った額にすることが必要です。過大とされる部分は必要経費と認められません。
白色申告者の事業専従者控除
白色申告の場合は専従者給与ではなく、事業専従者控除となります。事業専従者として認められる要件は、次のとおりです。
1)白色申告者と生計を一にする配偶者やその他の親族であること。
2)その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。(15歳以上でも学業に専念する大学生・高校生は原則として事業専従者になれません。)
3)年間で6か月以上、その白色申告者が行う事業に従事していること。
4)届出は必要ありませんが、確定申告書にこの控除を受ける旨やその金額など必要な事項を記載すること。
5)白色事業専従者控除の金額は、下記の2つの条件の低い方の金額になります。
イ 事業専従者が、事業主の配偶者なら86万円、配偶者以外なら専従者一人につき50万円。
ロ この控除を行う前の事業所得額の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額。
例;事業所得が160万円の場合、160万円÷(1+1=2)=80万円 支払い限度額は年間80万円となります。
青色申告の専従者給与のメリット・デメリット
【メリット】
比較的大きな金額の節税ができます。白色申告は最高86万円ですが、青色申告は届出額までが認められます。
【デメリット】
給与の金額が多くなると、所得税、住民税、社会保険などが必要になります。事業専従者である人は、原則的には他で働くことが出来ません。
以上のように、青色専従者給与・事業専従者控除額をいくらにするかは、しっかりと節税の効果を考慮する必要があります。
特に青色専従者給与は上限がありません(もちろん、仕事の内容に見合った給与でなければなりません)ので、所得税・住民税・個人事業税・その税率までを考えつつ、金額を決めていくことが重要になってきます。