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2015.06.19

「税務関係書類に係るスキャナ保存制度」の見直し

平成10年度税制改正の一環として、適正公平な課税を確保しつつ納税者等の帳簿保存に係る負担軽減を図る等の観点から、国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存制度等の創設が行われました。

その後、平成17年度の電子帳簿保存法の改正では、特に重要な文書である決算関係書類や帳簿、一部の契約書・領収書を除き、原則的に全ての書類を対象に、真実性・可視性を確保できる要件の下で、スキャナ保存スキャナを利用して作成された電磁的記録による保存をいいます。を認めることとされました。

平成27年度の税制改正で国税関係書類の「スキャナ保存制度」の要件緩和が盛り込まれました。

今回はその使いやすくなったポイントを紹介致します。

1.対象書類の見直し

スキャナ保存の対象となる契約書及び領収書に係る金額基準の現行3万円未満が廃止されます。

これにより、3万円以上の契約書及び領収書についてもスキャナ保存が可能になりますが、重要書類(契約書・領収書等については、適正事務処理要件を満たしていることが条件となります。

適正事務処理要件 … 内部統制を担保するために、相互けん制、定期的なチェック及び再発防止策を社内規定等において整備するとともに、これに基づいて事務処理を実地していること。

2.業務処理後に保存を行う場合の要件の見直し

重要書類について、業務処理後にスキャナ保存を行う場合に必要とされている関係帳簿の電子保存の承認要件が廃止されます。

3.電子署名要件の見直し

スキャナで読み取る際に必要とされている入力者等の電子署名が不要となります。ただし、タイムスタンプを付するとともに、入力者等に関する情報を保存する必要があります。 

タイムスタンプ … ある時刻に電子データが存在していたことや、ある時刻以降に改ざんされていないことを証明するもので、スキャナ保存を行う際には事前にタイムスタンプのソフトウェアをインストールしておく必要があります。

4.大きさ情報・カラー保存要件の見直し

重要書類以外の書類について、スキャナで読み取る際に必要とされているその書類の大きさに関する情報の保存が不要となり、カラーでの保存も不要白黒でも可となります。

5.適用時期

この改正は、平成27930日以後にスキャナ保存の承認申請書を提出した場合に適用され、3か月前までに申請が必要となるため、最短で平成2811日からスキャナ保存が可能となります。

改正後のスキャナ保存制度の概要
重要書類 一般書類
対象文書 ・領収書等及びこれらの写し(3万円以上を含めたすべての領収書等)
・請求書や注文書など
見積書・注文書など資金や物の流れに直結・連動しないもの(平成17年国税庁告示第4号)
読取装置 原稿台と一体のスキャナ(ハンディスキャナ,デジタルカメラ,スマートフォンは不可)
同左
解像度・諧調 ・解像度200dpi以上
・赤,緑,青それぞれ256諧調以上
・同左(解像度)
・グレースケールで保存が可能(カラー保存が不要に)
入力方式及び各要件 (1) 速やかに入力
[要件] タイムスタンプ+入力者又は直接監督者の情報を確認できること(電子署名が不要に)
(3) 適時に入力
[要件] タイムスタンプ入力者又は直接監督者の上場を確認できること+電子データの作成及び保存の事務手続きを明らかにした書類があること(当該事務の責任者が定められているものに限る。)(電子署名が不要に)
(2) 業務サイクル後速やかに入力
[要件] タイムスタンプ+書類の作成・受領から入力までの処理規定があること+入力者又は直接監督者の情報を確認できること(電子署名及び当該文書の関連帳簿の電子保存の承認が不要に)
適正事務処理要件 下記に関する規定を定め、その規定に基づき各事務を処理すること
・相互けん制・定期的なチェック・再発防止策

読取情報の保存 ・解像度及び諧調に関する情報
・文書の大きさに関する情報
・解像度及び諧調に関する情報(文書の大きさ情報は不要に)
ヴァージョン管理 訂正・削除履歴を確認できること  同左
帳簿との相互関連性の保持・電子計算機処理システムの開発関係書類等の備付け・検索機能の確保 ・記録事項と帳簿との関連性を確認できること
・電子計算機処理システムの概要等の書類の備付け
・取引年月日等に応じた記録の検索機能の確保

 同左

見読可能装置の備付け ・カラーディスプレイ及びカラープリンタを備付けること ・グレースケール保存ではディスプレイ及びプリンタを備付けること


 スキャナ保存制度の導入により、運送費・保管スペース等のコスト削減、検索性の向上、セキュリティの強化、環境問題への取り組み等のメリットが考えられますが、タイムスタンプが必要である等、スキャナ保存の導入をするには手間もコストもかかります。

手間やコストを現状のものと十分に比較検討した上で、導入を決定することになると思います。