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2015.04.03

法人の欠損金の繰越控除の見直し(平成27年度税制改正)

『欠損金の繰越控除制度』は、法人の特定の期に税務上の欠損金が発生した場合に、その欠損金を繰越し、翌期以降の課税所得と相殺することで税負担を軽減する制度です。

平成23年度の税制改正で大法人の繰越欠損金の控除限度額が設けられ、所得金額の20%相当額は課税対象になり(不利規定)、欠損金の繰越期間が7年から9年への延長(有利規定)になっていました。

平成27年度税制改正では、大法人の控除限度額の段階的な引き下げ、控除期間の延長等が行われましたので、その内容を説明していきます。

大法人(資本金1億円超の普通法人等)の欠損金の繰越控除制度の改正

青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度における控除限度額が、次のとおり段階的に引き下げられます。

1平成2741日から平成29331までの間に開始する繰越控除をする事業年度について、控除限度額はその繰越控除前の所得金額の65(現行は80%)になります。

2平成2941日以降に開始する繰越控除をする事業年度について、控除限度額はその繰越控除前の所得金額の50になります。

■ 中小企業は対象外 …現行どおり

 ○ 中小法人等(資本金億円以下の普通法人や公益法人・協同組合等)については現行どおり、所得金額の全額を控除できます。

■ ベンチャー企業・再建中企業への特例

 新設法人の特例…平成2741日以後に設立する法人の設立の日(内国法人の設立の日として政令で定める日)から同日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度については所得制限はありません。
※法人が上場した場合は、それ以後終了する事業年度では本特例の対象外となります。

 ○ 更正手続開始の決定があったこと等の事実が生じた法人については、その決定等の日から更正計画認可の決定等の日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度については所得制限はありません。
※再上場した場合は所得制限があることになります。

欠損金の繰越期間の延長

中小企業含め、平成2941日以後に開始する事業年度において生じた、青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越期間が10年に延長(現行9年)されます。

これに伴い、欠損金の繰越控除制度の適用に係る帳簿書類の保存期間、法人税の欠損金額に係る更正の期間制限、法人税の欠損金額に係る更正の請求期間10年に延長(現行9年)されます。

出所:経済産業省 「平成27年度 経済産業関係 税制改正について」(平成26年12月)

法人住民税・法人事業税

法人住民税・法人事業税について、欠損金の繰越控除制度等に関する国税における諸制度の取扱いを踏まえ、所要の措置が講じられます。

中小法人等については、所得制限は現行どおりないまま、欠損金の繰越期間が延長されます。


なお、個人の青色申告事業所得等の純損失の繰越控除制度については改正はなく、現行どおり翌年以後3年間の繰越控除が適用期間となっています。

詳しいことをお知りになりたい方は、国税庁ホームページまたは井手税理士・総合会計事務所までお問い合わせください。


《参考リンク》

国税庁 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5762.htm

経済産業省 平成27年度税制改正について
http://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2015/141230a/141230a.html