お役立ち!コラム

2015.03.05

教育・結婚・子育て資金の贈与税非課税措置

平成2541日より開始した教育資金の一括贈与の非課税制度ですが、平成27年度税制改正により平成31331日まで適用期限が延長され、手続きの簡素化も図られました。

信託協会のHPによれば、教育資金贈与信託の受託状況が公開されており、開始から平成269月までに89,095件、6,048億円が教育資金として信託銀行に受託されています。(下図参照)

グラフからもわかるように契約数と信託財産設定額も順調に伸びています。

教育資金の一括贈与の非課税制度【延長】

この制度が創設された背景は、高額な資産を所有する高齢者の財産を早期に次世代、次々世代に移転して活用することが求められていることから創設されました。

この制度の活用メリットとしては、金融機関に対して信託する形式をとるため、贈与者が死亡した場合でも教育資金を確保できること、また、受贈者1人あたり1,500万円までの贈与税非課税枠があるため、相続税対策としても有効であることです。

 ただ気をつけたいのは、受贈者が30歳に達した日に非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額があれば、その残額はその年に贈与があったものとして、贈与税が課税されます。したがって、一度に1,500万円の拠出をすることは賢明ではありません。あらかじめ教育プランにあった教育資金を拠出して、少しずつ必要な分だけ追加拠出される方が30歳時に余らなくて良いでしょう。

もう一点、意外と知られていない、気をつけたい点があります。

それは、扶養義務者相互間(民法第877条の直系血族及び兄弟姉妹)においては、生活費または教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるものは贈与税が非課税であることです。(相法213(2))

ただし、過分な贈与を受けて、その資金を預金した場合や株式を購入して運用する等の場合はその分は通常必要と認められるもの以外のものとして取り扱われ、贈与税の対象となります。

つまり、通常必要な教育資金の贈与はもともと贈与税がかからないため、祖父母がまだ元気なうちは一括贈与信託を利用せず、少しずつ教育資金を負担していく 方が賢明と思われます。お金を使いきれないほどの財産家である場合は、何も考えず一括贈与信託を利用した方が賢明です(笑)

結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置【新設】

 ここまで、教育資金の一括贈与制度について見てきましたが、平成27年度改正で新たに『結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置』が創設されました。この制度の概要は次のようになっています。

受贈者
20歳以上50歳未満
贈与者
直系尊属(受贈者の親・祖父母)
金銭等の拠出先
金融機関の受贈者名義の口座
金銭等の使用目的
受贈者の結婚・子育て資金
非課税限度額
受贈者1人毎に1,000万円。結婚関係の支出分は300万円まで
結婚・子育て資金
挙式費用・新居の住居費・引越費用・不妊治療費・出産費用
・産後ケア費用・子の医療費・子の保育費
拠出期限
平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間の拠出
申告方法
受贈者がこの非課税措置の適用に係る申告書を金融機関に提出
(金融機関が納税地の所轄税務署長に提出)
拠出の確認
受贈者が結婚・子育て資金用の支出を証する書類を金融機関に提出
口座に係る契約終了
(1)受贈者が50歳に達した場合,(2)受贈者が死亡した場合,
(3)信託財産等の価額が零となった場合において終了の合意があったとき
契約終了時の残額
使い残しがある場合は,その使い残しについて贈与税課税。
(受贈者死亡の場合は贈与税非課税)
贈与者の死亡
口座に係る契約途中に贈与者が死亡した場合,金銭等の拠出額から
結婚・子育て資金の支出額を控除した残額について相続財産に加算
(2割加算については対象外)

 この制度は、祖父母や両親の資産を早期に移転することを通じて、子や孫の結婚・出産・育児を後押しするため、これらに要する資金の一括贈与に係る非課税措置が設けられました。

 この制度も受贈者が50歳になった時に使い残しがあれば、その分について贈与税が課税されます。教育資金と似たような制度ですが、一度に拠出せず、使い残しが無いように計画的に利用したいものです。



 利用される贈与者の年齢や健康状態、所有する財産の価額などによりこれらの制度を利用した方が得か?判断が異なってきますので、ご興味があられたら井手税理士・総合会計事務所までご相談ください。