お役立ち!コラム

2014.12.05

変動損益計算書について ― 損益分岐点売上を中心として ―

みなさんは、毎月の月次監査などで監査担当者から受け取る試算表・決算書などに目を通していますか?なかでも今回は、試算表・決算書の見方として変動損益計算書という考え方を次より紹介します。

通常の損益計算書とはどう違うのか?

変動損益計算書は売上原価や販管費などの費用を「変動費」「固定費」とに分けて考えるというものです。そして、売上高から変動費を差し引いて限界利益を算出し、さらに固定費を差し引いて経常利益を算出するという違いがあります。

変動費とは… 売上の増減に比例して変動する費用のことをいいます。具体的には、材料費や仕入高、人材派遣やパート等の賃金または外注加工賃、消耗品費、販売手数料などが挙げられます。

固定費とは… 売上が増減しても変動しない費用のことをいいます。具体的には、役員報酬および従業員に対する給与、事務所家賃、支払利息、減価償却費などが挙げられます。

限界利益とは、固定費の回収に貢献するという意味合いから「貢献利益」とも呼ばれます。

損益分岐点を知ろう

ここでは、変動損益計算書において外せない損益分岐点の売上について説明していきます。損益分岐点とは、名前のとおり利益と損失の分かれ目を意味します。また、利益と損失がゼロになることから「損益トントン」などと呼ばれたりもします。

この損益分岐点売上高を知るためには次の公式を用います。

【公式】  損益分岐点売上高 = 固定費 / 限界利益率(限界利益÷売上高)

☆ ここでポイント・・・

実をいうと、この算式で用いる限界利益率を高めていくことが大事であり、この数値を過去数年間にわたり比較し、どのように推移していったかを分析し、いかに対策を打っていくかが経営者にとって重要な検討事項のひとつとなります。 

なぜ限界利益率を上げていくことが大事かというと「限界利益率の上昇は、企業努力で儲けが増えた証拠であり、反対に下降は、様々な要因による変動費の上昇などを意味」するからです。 

また、損益分岐点の売上高は公式にもあるように固定費も重要な要素のひとつといっても過言ではありません。

無駄な固定費を減らすことは基本中の基本ですが、ただやみくもに固定費の削減を行うのではなく、その固定費が本当に売上に貢献しているものなのかをしっかりと見極めていくことが大事です。

例えば、事業規模に見合った人件費となっているのか、設備に関しても事業規模のなかで十分に稼働しているのか等、固定費についても検討事項は意外とあるものです。

では、次より例をみてみましょう!

【例 とあるカレー屋さんの場合】

この店では1杯500円のカレーが月に4,000杯売れています。カレーを作るにあたっての変動費は1杯あたり200円です。また、固定費は月に60万円かかっています。

では、この店ではいくらが損益分岐点売上高となっていますか?また、その売上になるためにはカレーを何杯売ればよいでしょうか?

売上高 @500円×4,000杯 = 2,000,000円
変動費 @200円×4,000杯 =    800,000円
限界利益                              1,200,000円
固定費                                    600,000円
経常利益                                 600,000円

【A.解答】

売上高 - 変動費 = 限界利益 …(1)

2,000,000円-800,000円=1,200,000円
売上高    変動費    限界利益

限界利益率 = 限界利益 / 売上高 …(2)

限界利益率=1,200,000円÷2,000,000円
=0.6(60%)

損益分岐点売上高 = 固定費 / 限界利益率 …(3)

損益分岐点売上高=600,000円÷0.6(60%)
=1,000,000円

損益分岐点売上の数量=1,000,000円÷@500円
=2,000杯

※つまり、100万円が損益分岐点の売上高であり、それを単価で割るとカレーを2,000杯売れば損益がトントンになります。 

また、今回は特に触れていませんが商品別に考えるならば、商品毎に販売単価やそれに伴う変動費、そして固定費を把握し、先ほどの式に当てはめていくことにより把握できるでしょう。

 この場合、固定費は商品毎に異なってくるのか、あるいは共通しているのかでその割合を按分するかどうかが異なります。

最後に・・・

 今回は変動損益計算書についての基本的な考え方をご紹介しました。

 簡単に触れたものの、試算表・決算書における考え方のひとつとして、あるいは企業の現状把握・今後の経営戦略を考えるうえで、まずは経営者自身がこのような思考を絶えず続けていけば、計画的な経営への土台作りができるものと考えます。

また、今回触れた変動損益計算書は、試算表・決算書等を参考にしつつエクセル等で見やすい表も簡単に作ることもできます。

TKCシステムを利用しているお客様は、監査担当者より毎月お届けする帳表などをもとに、ぜひ参考にしていただき、経営改善のキッカケにしていただけたら幸いです。