お役立ち!コラム

2014.11.05

消費税の納税資金を準備しておきましょう

  新規に開業した顧問先様からよくお聞きするのが、「消費税はいつから納めるのでしょうか?」「納税資金の準備はどのようにしたらよいでしょうか?」というご質問です。

 今回は、消費税の基本的な仕組み、納税義務の判定、納税資金の準備について、『中小企業の原則的な扱いの場合』を前提にご説明したいと思います。

消費税の基本的な仕組み

 消費税は、消費一般に広く公平に課税する間接税です。税金分は事業者が販売する商品やサービスの価格に含まれて、最終的に消費者が負担することとなります。

 ○ 消費税を負担する者 = 消費者
 ○ 消費税を申告、納付する者 = 事業者

消費税率 ― 消費税と地方消費税 ―

 消費税の税率は、6.3%の単一税率です。このほか地方消費税が消費税率換算で1.7%(消費税額の17/63)課税され、合わせた税率が8%となります。(平成26年4月1日以後、平成26年10月現在)

・平成27年10月1日に税率が10%に引上げとなった場合…消費税率7.8%、地方消費税率2.2%(消費税額の22/78)

納税義務の判定

 次のいずれかに該当する事業者は「課税事業者」となり、申告・納税が必要です。

1)その課税期間の基準期間(個人事業者はその年の前々年、法人はその事業年度の前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超える場合

2)特定期間(個人事業者はその年の前年、法人はその事業年度の前事業年度 開始の日以後6か月の期間)の課税売上高、支払い給与等の合計額のいずれもが1,000万円を超える場合

いずれも1,000万円以下の事業者は納税義務が免除されます。これを「免税事業者」といいます。

・基準期間が1年に満たない法人の場合には、課税売上高を12か月(1年分)に換算する必要があります。

・前事業年度が短期事業年度(7月以下)となる場合には、その事業年度の前々事業年度開始の日以後6か月の期間(その前々事業年度が6月以下の場合には、その前々事業年度開始の日からその終了の日までの期間)が特定期間となります。

 

出所:国税庁「消費税のあらまし」(平成26年6月)

● 新規に開業した場合は…

 個人事業者の新規開業年とその翌年、法人の設立事業年度とその翌事業年度の2年間は、基準期間が存在しないため、原則として免税事業者になります。

・基準期間が存在しない場合でも、前述の納税義務の判定2)「特定期間における課税売上高1,000万円判定」の規定の適用があります。

・基準期間のない法人のうち、その事業年度開始の日の資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人については「免税事業者にはならない旨の特例」が設けられています。

・免税事業者であっても届出書を提出して「課税事業者になることを選択」することができます。

● 課税売上高を計算する時には…

 基準期間における課税売上高は税抜きの金額となりますが、基準期間が免税事業者であった場合には、その基準期間においては消費税が課税されていませんので、税抜きの処理をしてはいけません。

仕入控除税額の計算方法の選択

 基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者は、一般課税(「本則課税」ともいいます)と計算方法が異なる「簡易課税制度」を選択することができます。

 どちらを選択すると有利かについては、「課税仕入がどのくらいか?」「設備投資計画はどうか?」等を考慮して、比較検討する必要があります。

出所:国税庁「消費税のあらまし」(平成26年6月)

申告・納付の手続き 滞納するとどうなる?

課税事業者となった場合、原則として個人事業者は翌年の331日まで、法人は事業年度終了後2か月以内に、消費税申告書を提出し、消費税額を納付しなければなりません。

 預かった消費税を運転資金として使ってしまうと、「納税資金がない」という事態になってしまいます。消費税は預かっている税金ですので、赤字であっても納付しなければなりません。

 もし滞納することになれば、延滞税が課せられたり、納税証明書が出ないために金融機関からの借入が困難になる、事業資産の差押え処分を受ける、取引先の信用を失うなど、企業経営への影響が懸念されます。

納税資金を確保するには

消費税をきちんと納税できるように、次のような方法を検討して備えておきましょう。

1.納税準備用の預金口座をつくる

 未払消費税分の資金をその口座に預け入れるようにします。

2.任意の中間申告制度により納税時期を分散させる

 直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税を含む)が60万円以下の中間申告の義務がない事業者も、届出をすれば自主的に中間申告・納付(半期)ができます。年2回の納税ですので1回あたりの納付税額が少なくなり、また、運転資金に使ってしまわずにすみます。

個人事業者は平成27年分から、事業年度が1年の法人については、平成2641日以後開始する課税期間(平成273月末決算分)から適用されます。

※注:中間申告の納税義務が発生しますので、納められない場合は延滞税が課される場合があります。

3.毎月、未払消費税を把握できるようにする

 税抜き経理を採用すると毎月の未払消費税の金額が把握でき、対策を講じることができます。

※注:免税事業者については税抜き経理は認められません。税込み経理の処理になります。

4.消費税分を織り込んで資金計画を立てる

 消費税率アップにより納税額も増加します。納税予定額を織り込んで、資金繰りを計画するようにします。



 今回は『中小企業の原則的な扱いの場合』を前提にご説明しました。この他にも様々なケースによって制度や特例がありますのでお留め置きください。また、届出の要否や提出期限にも注意が必要です。

 納税予定額を把握するためにも自計化して月次決算をしっかり行うことが大切です。井手税理士・総合会計事務所がご支援いたします!お気軽にご相談、お問合せください。

《参考リンク》

国税庁 パンフレット・手引き 消費税のあらまし(平成26年6月)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/aramashi/01.htm