お役立ち!コラム

2014.10.20

繰延資産の創立費と開業費

繰延資産とは…

将来の期間に影響する特定の費用すでに代価の支払が完了し又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって発現するものと期待される費用であって、次期以降の期間に費用配分して処理するため、経過的に貸借対照表の資産の部に記載された資産。

《繰延資産の例》創立費・開業費・共同アーケードの負担金・賃借建物の権利金・開発費・試験研究費等

上記等の繰延資産の中から、今回は法人設立や個人事業の開業時に関係してくる創立費開業費についてご説明いたします。

同じ開業費ですが、法人と個人で計上の範囲等の違いがありますので、個別に説明していきます。

法人設立時の費用の種類

会社の設立準備にかかる費用は、創立費と開業費の種類に分かれます。

設立費と開業費

 創立費 … 法人を設立するために通常必要となる費用

1)定款作成のための費用
2)発起人報酬
3)金融機関の取扱手数料
4)その他法人設立事務に関して必要な費用等

 開業費 … 法人の設立後営業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用(法令14(1)二)

1)印鑑や名刺の作成費用、チラシなどの広告宣伝費
2)会社案内・業務案内・パンフレット等の作成料
3)接待・交際費(打合せのための食事代等)
4)市場調査費
5)その他開業準備のために特別に支出する費用

『創立費』と『開業費』どちらも、5間(60か月で均等償却する方法と任意償却を選択できます。任意償却にすると、設立第1期の損金に計上することができ、いつでも自由に任意の額だけを償却することができます。

つまり、開業時の費用がかさみ利益の計上が難しい時は、会社が利益を計上できるまで償却を行わず、繰延資産に計上しておくこともできます。(法令14,法令64)

創業費や開業費に該当しない費用

○ 事務所の賃借料や水道光熱費等の経常的な費用

原則として設立事業年度の費用として損金にできます。

○ 固定資産パソコン・備品など

固定資産として計上し、それぞれ定められた耐用年数により償却します。
なお、取得価額が30万円未満である減価償却資産は、一定の要件のもとに、取得価額に相当する金額を損金算入することができます。(平成28331日迄)

個人事業の開業費

法人の場合と異なり、個人の開業費は「特別に支出した費用」に限定されていませんので、経常的な費用も開業費に計上できます。但し、開業の為に支出した費用であることの説明と証拠が提示できることが必要です。

支出した時点についても、法人のように「会社設立後」に要した費用に限定されていません。例えば、開業の前年度以前に発生した開業準備の費用をすべて一括して開業費として処理することも可能です。一般的には、事業開始前6か月~12か月くらいまでが妥当な線だと思われます。そして上記のように、開業の為の費用であることの説明と証拠が必要です。

償却の方法は法人と同じで、5年間の均等償却に限らず、任意償却も選択できます。(所令1373項)


法人設立・個人事業開始前後は行うべきことが山積みで、事務処理的な事項は後回しになりがちですが、支出の内容を出来るだけ明確にすることを心掛けて、正しい処理での節税を行いましょう。