お役立ち!コラム

2014.07.07

役員借入金の債務免除 ― その方法と注意点 ―

今回は役員(社長)の借入金の債務免除についてお話します。 

試算表の負債の部で、膨大な役員(社長)からの借入金が残ってしまっている会社は珍しくないのではないでしょうか?

その借入金額が大きくなると、自己資本比率が悪化し、金融機関から見ると会社の財務体質の評価を下げてしまいます。その上、社長に万が一のことがあった時に、社長からの借入金の帳簿価額がそのまま相続財産の一部として課税されてしまうのです。 

そこで、役員借入金を減らす方法の一つとして、債務免除という方法があります。

1.債務免除の方法

債務免除を受ける場合には、会社が債務免除益として益金に加算する必要があります。

 《仕訳》

借入金役員 *** / 債務免除益 ***

2.債務免除の注意点

1)法人税の負担になることがある

上記のように債務免除を受けると会社の益金(収入の扱いになりますので、会社の利益がその分増加し法人税の負担になることがあります。

そこで、法人税法上の繰越欠損金がいくらあるのかを確認します。

前回税務署に提出した法人税の申告書の表紙[別表一(一)]の27番「翌期へ繰り越す欠損金…」この金額の範囲内で債務免除益を計上すると、法人税の課税はありません。

2)株主に贈与税がかかることがある

会社が税の負担なく債務の免除を受けられたとしても、注意しなければならないのが、債務免除により株主に贈与税がかかることがあるということです。

債務免除を行うことによって、会社の財務体質が良くなり、通常会社の株価が上がることになります。その結果、株主の所有する株式の評価も高くなるのです。

債務免除した人と株主が同じ人であれば問題ありません。しかし、そうでない場合には、会社の株主の方達が株式の価値の増加額に相当する金額を、債務免除した人から贈与によって取得したものとして取り扱われることになってしまうのです。

債務免除した同額分株式の評価額が上がるわけではありませんが、ほかに贈与がない場合、贈与を受けた金額が年間110万円を超えると贈与税額が発生しますので、その負担にも注意しながら債務免除することが必要です。

3.債務免除の理由を明らかにしておくこと

債務免除の金額にもよりますが、出来れば、社長が会社に対して債権を放棄するという「債権放棄の通知書」を作成して、債務免除の理由も明らかにしておくとよいですね。

4.役員からの借入金をこれから増やさない

せっかく債務免除したものの、同額の役員報酬を計上し続け、また借入金が増えていったりしないよう、役員報酬を見直し減額分を借入金(役員)の返済に充てることも視野に入れて考える必要があります。

但し、役員報酬を減額するということは、会社の利益が増加することになりますので、経営状況を鑑みながらの見直しが必要です。



 今回は、「債務免除」という方法を説明しましたが、「負債である役員借入金を、資本金などの純資産に振替える」という方法もあります。但し、資本金等の額が1,000万円を超えると法人税等の税金が増加するため、それも注意が必要です。