お役立ち!コラム

2014.02.20

サラリーマンのための特定支出控除

今回の確定申告(平成25年分)特集で、TVや新聞などで「特定支出控除」の話題をよく目にします。特定支出控除は昭和63年に創設されましたが、この制度を利用して申告する人は年間、数人から10数人しかいないのが実情です。なんと1,000万人に1人という割合です。

 平成25年分の確定申告より、次の2点の改正が行われ利用されやすくなりました。

1.特定支出の範囲の拡大

以前は、弁護士・税理士・司法書士などの資格取得費は控除対象外でしたが、今回の改正で認められるようになりました。(下表No.6)

仕事に必要な書籍の購入やスーツ代、制服代、接待費用も認められるようになりました。(下表No.6,7,8)No.1~8のすべてにおいて、給与の支払者が証明したものに限定されますので、注意が必要です。個人的に必要だと思い単に領収書をもって申告したとしても、証明書が添付されていなければ控除が認められません。証明書については、国税庁HPをご参照ください。

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/shotoku/shinkoku/871222/01.htm

この特定支出控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。

その際、特定支出に関する明細書及び、給与の支払者の証明書を申告書に添付するとともに、搭乗・乗車・乗船に関する証明書や支出した金額を証する書類を申告書に添付又は申告書を提出する際に提示が必要となります。

No項目内容適用年
通勤費通勤のための費用




改正前
平成24年分まで

転居費転勤に伴う転居のための費用
研修費仕事に必要な技術などを得るための研修費用
資格取得費仕事に必要な資格取得のための費用
帰宅旅費単身赴任で、勤務地から自宅へ帰るための費用
勤務必要経費(図書費)仕事に必要な弁護士などの資格取得のための費用


改正後
平成25年分から追加

勤務必要経費(衣服費)仕事に必要な図書・衣服を購入するための費用
勤務必要経費(交際費等)得意先などを接待するための費用

2.適用判定の基準の引き下げ

 給与所得者が上記のNo.1~8の特定支出をした場合、その年の特定支出の額の合計額が、下記の表の区分に応じそれぞれ「特定支出控除額の適用判定の基準となる金額」を超えるときは、確定申告によりその超える部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができます。

 従来は、特定支出の金額が給与所得控除額を超えないと控除がありませんでした。改正により、給与所得控除額の1/2を超えれば利用できることとなりました。(年収1,500万以下の場合)

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額

特定支出控除額の適用
判定の基準となる金額

1,800,000円以下収入金額×40
650,000
円に満たない
場合には650,000





その年中の
給与所得控除額×1/2

 1,800,000円超     3,600,000円以下収入金額×30+180,000
 3,600,000円超     6,600,000円以下収入金額×20+540,000
 6,600,000円超    10,000,000円以下収入金額×10+1,200,000
10,000,000円超    15,000,000円以下収入金額×5%+1,700,000
15,000,000円超2,450,000円(上限)125万円

○ たとえば、年収400万円のサラリーマンの場合・・・

 従来は134万円の給与所得控除を超える特定支出が無いと控除できませんでしたが、平成25年の申告分より134万円×1/267万円を超えれば、超えた部分の金額が所得控除されることとなります。

 仮に1年間の特定支出が90万円あり、所得税の税率が10%だったとすると、

 (90万-67万)×10%=23千円 の所得税が軽減されます。

 住民税も10%の軽減がありますので、合計すると46千円の恩恵をうけることができます。

総括・・・

改正により特定支出の範囲が拡がり、適用判定基準も引き下げられましたが、医療費控除のように一般的に利用されるところまでは至らない気がします。

なぜなら、一定規模の企業であれば、通勤費や制服代、職務に必要な書籍代、研修代など会社が負担するものと考えられるからです。また、支出した後の証明書を会社からもらわなければ控除が受けられませんので、事務手続きの煩雑さも伴います。

 しかし、「資格取得で多額の費用を払う人」、「単身赴任で帰省するときの旅費が多額の人」は、会社側も証明書を発行しやすく、特定支出控除額も大きくなるため、この制度の利用が増加すると思われます。