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2014.01.07

貸倒損失の処理について

法人の有する金銭債権が回収不能となった場合に、貸倒損失として損金算入が認められています。金銭債権とは、売掛金・受取手形・貸付金などの金銭で回収する債権のことです。

法人において税務上の貸倒れ処理が認められる要件には、次の3つがあります。(法人税基本通達による)

1)法律上の貸倒れ …〔法人税基本通達 9-61〕
2)事実上の貸倒れ …〔法人税基本通達 962〕
3)形式上の貸倒れ …〔法人税基本通達 963〕

この3つの要件の処理について簡単にまとめると、次のとおりです。

税務上の貸倒れが認められる要件

1.法律上の貸倒れ

法律等 処理事業年度 貸倒損失額
会社更生法 再生計画認可の決定のあった日 切り捨てられる額
民事再生法
関係者の協議決定 債権者集会などにより切り捨て額の決定があった日
債権者の債務超過の継続 内容証明など書面により債権放棄の通知をした日 書面による債務免除額


2.事実上の貸倒れ

※処理要件として損金経理が必要です。

区分 処理事業年度 貸倒損失額
担保物がない場合 金銭債権の全額が回収できないことが明らかであると判断した日

金銭債権の全額

担保物がある場合
処分すること
同上 金銭債権 - 処分価格


3.形式上の貸倒れ

注:対象となる債権は売掛債権のみ、貸付金他これらに準ずる債権は対象とはなりません。
※処理要件として損金経理が必要です。

区分 処理事業年度 貸倒損失額
取引停止以後1年以上経過 ・取引停止の時
・最後の弁済期
・最後の弁済時
のうち最も遅い時から1年以上
経過
した日
売掛債権 - 備忘価格(1円)
遠隔地の取立て
※同一地域の債権者に対する売掛債権
の総額が取立費用より少ない場合
督促をしても弁済がない日


以上の3つの要件のいずれかに該当すれば、税務上の貸倒が認められることになります。

貸倒れ処理については、税務調査において「時期尚早」と判定されたり、「債務者に対する寄付金」と取り扱われたりして、否認を受けることがあります。

その争点となるのが、

  ○ 回収不能の事実が本当にあるのか?
  ○ 回収の為に努力をしたのか?
  ○ 貸倒損失の計上の時期は正しいのか?

です。貸倒損失が認められるには、これらの証明が必要になります。

揃えておきたい資料

例えば、取引先が夜逃げ・行方不明などで売掛債権が回収できない場合、事実上の貸倒れに該当することが考えられますが、『回収に向けて何度も連絡を取ろうと努力をしたが連絡がつかないことの証明』が必要です。

この場合であれば、配達証明付内容証明郵便で売掛金の請求を行って、受取人がいなければ戻ってきますので、これらの書類保存しておくことで不在を証明することが出来ます。また、調査機関に依頼して調べてもらうなどしたが不明など、『回収へ向けて最善の努力をした証拠』を残す必要があります。

貸倒れ処理にあたっては、下記のような資料を揃えておきましょう。

説明事項 資料
破たん債権の確定額 販売管理帳票,請求書控,不渡り手形の写し,取引契約書,相殺適状にある債務金額,担保物の評価額など
回収努力 督促状,営業担当者の報告書,稟議書など
支払能力 回収先の決算書,信用調査会社の調査書,不動産登記簿謄本,管財人からのヒアリングメモなど
貸倒損失額 認可決定や協議決定に基づく切捨額の決定書,債権放棄通知書など


今回は簡単にまとめてみましたが、状況判断等が難しいところもございますので、慎重な処理が求められます。ご心配などございましたら、井手税理士・総合会計事務所までご相談ください。