お役立ち!コラム

2013.12.05

消費税増税における価格転嫁について ―消費税転嫁対策特別措置法―

平成25101日に「消費税転嫁対策特別措置法」が施行されました。 

これは、平成2641日より増税される消費税について、減額や買いたたき等により、消費税上乗せ分を拒否することなどを禁止すること等を定めた法律です。

違反者は、速やかに適正な転嫁に応じること、その他必要な措置を取るように勧告され、その旨を公表されるという厳しいものです。自社が違反しないよう、また逆の立場の場合は泣き寝入りしなくていいようしっかり知識を身に付けましょう。

内容は4つに大別されます。

1.売り手に対する減額や買いたたき、報復行為等が禁止されます
2.消費税還元セール等の宣伝、広告が禁止されます
3.総額表示義務の特例によって、税抜き価格のみの表示が認められます
4.消費税の転嫁及び表示方法の決定に係る共同行為が認められます 

それぞれ、もう少し詳しく説明していきましょう。 

1.売り手に対する減額や買いたたき、報復行為等の禁止

 ■減額
 ・消費税分を支払わない
 ・契約をしていたのに、支払う段階になって消費税分を下げる

 買いたたき
 ・原材料費は変わらないのに、低い税込価格を売り手に対して指定する 

 ■商品購入の要請
 ・買い手の指定する商品を購入しなければ、消費税の上乗せに当たり不利な取扱いをすることを示唆する

 ■役務利用の要請
 ・売り手にディナーチケット等の購入や、宿泊施設の利用を要請したりする

 ■利益提供の要請
 ・消費税上乗せに応じる代わりに、協賛金を要求する
 ・消費税上乗せに応じる代わりに、人員の派遣を要請する

 ■本体価格(税抜価格)での交渉の拒否
 ・売り手が提出した見積書等を買い手が拒み、消費税込の総額のみを記載した見積書等を再度提出させる
 ・買い手が消費税額を加えた総額しか記載できない見積書等の様式を定め、その様式の使用を余儀なくさせる

 ■報復行為の禁止
 ・売り手が公正取引委員会等に対して、その事実を知らせたことを理由として、取引数量の削減や取引停止、その他の不利益な取扱いをすることを禁止


 また、転嫁拒否等の被害に関しては、調査を行う専門の調査官が新たに配置されます。

〔相談〕…政府共通の相談窓口へ相談
 
〔検査・報告〕…違反事業者に対して報告命令、立入検査
 ↓  ↓
  〔指導・助言〕…違反行為を防止し、または是正するための指導・助言を行う
 
〔措置請求〕…違反行為があると認める場合は、公正取引委員会に対して、適当な措置を求めることができる
 
〔勧告・公表〕…違反行為があると認める場合は、速やかに消費税の適正な転嫁に応じることその他必要な措置を取るよう勧告し、その旨を公表

2.消費税還元セール等の宣伝、広告の禁止

対象となる宣伝、広告】
 ・商品や容器、包装、チラシ、電話、ネオンサイン、インターネットによる広告、口頭の広告等、顧客を誘引するために利用するあらゆる表示が対象

具体例】
 ・消費者に消費税を転嫁していない旨の表示
  (消費税還元、消費税増税分据え置き、消費税はサービス等)

 ・消費税の全部または一部を価格から値引きする旨の表示
  (消費税増税分の値引き、消費税率引き上げ分をレジにて値引きします等)

 ・消費者に経済上のサービスを提供する旨の表示
  (消費税相当分のポイント付与、商品券提供、商品の無料提供、キャッシュバック)

禁止されない表示の具体例】
 ・消費税との関連がはっきりしないもの
  (春の生活応援セール、新生活応援セール等)

 ・たまたま消費税率の引上げ幅、税率と一致するだけのもの
  (3%・8%値下げ、3%・8%還元、3%・8%ポイント還元等)

3.総額表示義務の特例によって、税抜き価格のみの表示が可能(原則:総額表示)

消費税の総額表示義務の対象者】
  消費者に対して商品やサービスを販売する課税事業者(免税事業者は除外)

総額表示の対象】
  1)値札、商品陳列棚、店内表示等による価格の表示
  2)商品、容器または包装による価格の表示およびこれらに添付したものによる価格の表示
  3)チラシ、パンフレット、商品カタログ等による価格の表示
  4)ポスター、看板、ネオンサイン、アドバルーン等による価格の表示
  5)新聞、雑誌その他の出版物、放送、映写または電光による価格の表示
  6)インターネット、電子メール等による価格の表示

特例の期間】
  平成25101日~平成29331日まで

税抜表示の具体例】
  〇〇円(税抜き)   〇〇円(税別)   〇〇円(本体)   〇〇円+
  〇〇円(税抜き価格) 
〇〇円(税別価格) 〇〇円(本体価格) 〇〇円(+消費税)

税抜価格と税込価格を併記する場合の前提と具体例】
  前提…税込価格が見やすく、税抜価格が税込価格と誤認されないよう表示

出所:中小企業庁『消費税の手引き』2013年10月

4.消費税の転嫁及び表示方法の決定に係る共同行為が可能

独占禁止法でカルテルは禁止されていますが、事前に公正取引委員会に対し、その共同行為の内容を届け出れば、消費税転嫁及び表示に関してのカルテルは、独占禁止法の適用除外となります。

【期間】
  平成2641日~平成29331日まで(届出開始は平成2510月より)

【事前の届け出によって認められる共同行為】

1)転嫁カルテル

 転嫁カルテルは、一般的に中小事業者が市場における価格形成力が弱いことに配慮して、一部の事業者に認められるものです。(複数の事業者間・事業者団体・複数の事業者間と事業者団体の共同体、それぞれ参加事業者の3分の2以上が中小事業者であること)

【 認められる共同行為例】
 ・事業者がそれぞれ自主的に定めている本体価格に消費税額分を上乗せする旨の決定
 ・消費税額分を上乗せした結果、計算上生ずる端数を、切上げ、切捨て、四捨五入等により合理的な範囲で処理する旨の決定

【 認められない共同行為例】
 ・消費税率引き上げ後の税抜価格または税込価格を統一する旨の決定
 ・消費税引上げ分と異なる額(率)を転嫁する旨の決定

2)表示カルテル

表示カルテルは、全ての事業者・事業者団体に認められます。

・消費税率引き上げ後の価格表示について統一的な表示方法を用いる旨の決定
・見積書、納品書等について消費税額を別枠で表示するなど、消費税の表示方法に関する様式を作成して統一的に使用することを取り決める。
・価格交渉を行う際に、税抜価格を提示することを取り決める


以上が、内容の大枠になります。

詳細や相談窓口等については内閣府や中小企業庁のHPに掲載されています。該当しそうな項目については、一度詳細を読まれることをお勧めします。



《参考リンク》

内閣府 消費税転嫁対策
http://www.cao.go.jp/tenkataisaku/index.html

中小企業庁 中小企業・小規模事業者のための『消費税の手引き』
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/pamflet/2013/131008syouhizei.pdf