お役立ち!コラム

2013.09.05

相続の際の土地の評価について

 平成25年度税制改正大綱で相続税の改正が発表されました。

 相続税の基礎控除の4割圧縮により、平成2711日以後の相続分から課税対象者が大幅に増える見込みです。(現行4% → 67%へ)中でも首都圏に不動産を所有する資産家については、ほぼ倍増になる見通し(日本経済新聞 72日号参照)となっています。

 国税庁では、毎年7月初旬に路線価をホームページで公開していますが、今年の路線価の平均変動率も下落傾向にあります。熊本を検索すると、平成25年分の各税務署管轄の最高路線価は、

  熊本西…熊本市中央区手取本町(下通り)1,170千円/平方m 前年比2.5%下落
  熊本東…熊本市東区若葉1丁目(電車通り) 115千円/平方m 対前年増減率ゼロ

 となっています。

 今回のコラムでは、相続税の増税に備えて

・自分の自宅はどのように評価されて財産(遺産総額)に取り込まれていくのか?
・その評価額を下げる対策は?

 に的を絞って見ていきたいと思います。

1.自宅の財産評価について

 まず、自宅を土地と建物に分けて考えます。

 建物の評価額については、固定資産税評価額に1.0倍して評価しますので、その年度の固定資産税評価額と同額となります。したがって、市町村から郵送で通知される固定資産税明細の評価額を見ることで解決します。固定資産税評価額は地価公示価格の7を目途に市町村において3年ごとに定めることとされています。

 次に、土地の評価には、相続税や贈与税を算定する際の評価基準が必要となります。その評価基準となるのが国税庁が毎年7月初旬に公表する「財産評価基準書」(路線価図および評価倍率表から構成される)であり、その年度の11日時点の価格を評価することができます。

 土地は原則として宅地、田、畑、山林などの地目ごとに評価しますが、評価方法には路線価方式と倍率方式があります。

路線価方式

 路線価方式は、路線価が定められている地域の評価方法です。路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方m当たりの価額のことで、千円単位で表示します。

 路線価方式における土地の価額は、路線価をその土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの各種補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて計算します。路線価は一般的に地価公示価格の8を目途に各国税局において毎年定められています。

倍率方式

 倍率方式は、路線価が定められていない地域の評価方法です。倍率方式における土地の価額は、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します。

国税庁 路線価図・評価倍率表
http://www.rosenka.nta.go.jp/

 土地の評価については、

・整形地(正方形に近い地形)か不整形地(いびつな地形)か?
・路線価がついている道路が正面だけか側方にもあるか?
・賃貸しているかどうか?

 等、その他いろいろな要素で評価額も変動します。簡便的に土地の評価額を算出したいときは、固定資産税評価額をベースに8/7倍してみると、おおよその目安とすることは出来ます。(もちろん、正確な相続税評価額とはなりませんのでご注意ください。)

2.評価額を下げる対策

 ここまで自宅の評価方法を見てきましたが、次にその評価を下げる対策について見てみましょう。

 平成25年度税制改正で「小規模宅地の特例」の要件が緩和され、非常に使いやすくなっていますので、まずはこちらの適用が受けられるか?が重要です。

 「小規模宅地の特例」とは、相続人が相続した自宅や会社の土地・建物などを相続税の支払いのために手放さずにすむように、一定の条件を満たす場合、当該宅地評価の80%を評価減する制度です。

 前述の図中の計算例では土地の評価額が54,000千円でしたが、この特例を適用すると

54,000千円  ×(100%80%)= 10,800千円 

 の評価額ですみます。

 現行では240平方mまでの居住用宅地が80%の評価減ですが、改正後の平成2711日以後の相続発生時については、330平方mに拡大されます。また、「二世帯住宅」や「老人ホーム」についての要件も緩和されますので、最新の情報収集が必要になってきます。

 特例の対象となる宅地等のうち、『特定居住用宅地等』の適用要件は次のとおりです。
 (※この他にもありますが、今回は自宅の場合について取り上げていますので、特定居住用宅地等の適用要件のみを掲載します。)

特定居住用宅地等の要件


区分

特例の適用要件
取得者 取得者ごとの要件








被相続人の居住の用に供されていた宅地等

被相続人の配偶者 「取得者ごとの要件」はありません
被相続人と同居していた親族 相続開始の時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を有している人




被相続人と同居していない親族

被相続人の配偶者又は相続開始の直前において被相続人と同居していた一定の親族がいない場合において、

被相続人の親族で、相続開始前3年以内に日本国内にある自己又は自己の配偶者の所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます)に居住したことがなく、

かつ、相続開始の時から相続税の申告期限までその宅地等を有している人

(相続開始の時に日本国内に住所がなく、かつ、日本国籍を有していない人は除かれます)

被相続人と生計を一にする被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地等 被相続人の配偶者 「取得者ごとの要件」はありません
被相続人と生計を一にしていた親族 相続開始の直前から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を有している人

 今回は被相続人の自宅についてのみ取り上げましたが、評価を下げる対策は他にもございます。

 相続税を賢く節税するためには、早期に現状を把握して対策プランを立案し、長い年月をかけて確実に実行することがポイントとなります。

 相続対策についても、井手税理士・総合会計事務所にご相談ください。