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2013.08.20

共通番号制度(マイナンバー制度)

 今年2013年(平成25年)524日、「共通番号(マイナンバー)法」が成立し、2015年(平成27年)10月から「個人番号の通知」が始まります。

 共通番号制度(マイナンバー制度)とはそもそもどういうものなのでしょうか、中小企業ではどのような対応が必要になるのでしょうか。

どのような制度?

 国民一人ひとりに12桁の「個人番号」を割り当て、税の徴収や社会保障給付に役立てようというものです。創設された背景には、主に二つの要因があります。 

1)2002年(平成14年)8月に稼働した住民基本台帳ネットワークシステム(通称:住基ネット)の「住民票コード」が社会のなかでほとんど使われなかったこと

2)税や社会保障制度のあり方を見直す必要性が出てきたこと

 この二つの問題を解決するには社会保障(給付)と税(負担)の仕組みを抜本的に改めなければならず、そのためには、個々人の所得や給付状況を正確に把握する必要があります。

 そこで、さまざまな個人情報を紐付ける手段として考えだされたのが、今回の共通番号制度(マイナンバー制度)です。

利用範囲

 当面、社会保障分野、税分野、災害対策分野の三つですが、施行3年後の2018年(平成30年)10月を目処に民間や医療への利用拡大を検討することになっています。

《今後のスケジュール》

2015年(平成27年)10月を目処に
 市町村が住民に個人番号を記載した紙の「通知カード」を郵送で通知

2016年(平成28年)1月から
 番号情報が入ったICチップを埋め込んだ顔写真付き「個人番号カード」を市町村の窓口で交付

2017年(平成29年)1月から
 情報提供ネットワークシステムを介して行政機関同士などの「情報連携」開始

出所:「住民基本台帳法・公的個人認証法の一部改正について 地方公共団体情報システム機構法について」
(平成25321日 総務省自治行政局住民制度課)

《個人番号の主な利用範囲》

【社会保障分野】
 ・年金分野
  → 年金の資格取得・確認、給付を受ける際に利用。

 ・労働分野
  → 雇用保険等の資格取得・確認、給付を受ける際に利用。ハローワーク等の事務等に利用。

 ・福祉・医療・その他の分野
  → 医療保険等の保険料徴収等の医療保険者における手続き、福祉分野の給付、生活保護の実施等低所得者対策の事務等に利用。

【税分野】
  → 国民が税務当局に提出する確定申告書、届出書、調書等に記載。当局の内部事務等に利用。

【災害対策分野】
  → 被災者生活再建支援金の支給に関する事務等に利用。

出所:内閣官房HP/社会保障改革担当室

導入費用はどれくらい?

 国会答弁などによれば共通番号制度を構築するための初期投資は約2,700億円、年間の運用コストは約400億円といわれています。

 一方、経済効果については、「わたしたち生活者のための『共通番号』推進協議会」が行った試算によれば、

1)社会保障や税に関わる事務の合理化などの効果…約3,000億円
2)医療機関の事務の合理化などの効果…約6,000億円
3)企業内の事務の合理化などの効果…約2,500億円

 合計で年間11,500億円の効果があると推計しています。

共通番号制度に必要な三つの仕組み

 共通番号制度を実現するうえでは付番、情報連携、本人確認の三つの仕組みが必要とされています。

1)付番…新たに国民一人ひとりに唯一無二の個人番号を割り当て、最新の氏名・住所等基本情報と関連づける仕組みです。

2)情報連携…複数の行政機関において、それぞれの行政機関ごとに管理している同一人の情報を紐付けし、その情報を相互に活用する仕組みをいいます。

3)本人確認…個人番号がそれを提示した当事者のものであることを確認する仕組みです。通常の確認であれば顔写真でチェックし、それ以上に厳格な確認が求められる場合はパスワードを入力してもらいます。

 この三つの仕組みを結びつけることで個人が確実に特定され、個人番号が本人のものであることを証明でき、個人情報を紐付けることができます。

個人情報の管理と情報連携はどのように行われるのか

 最高裁が住基ネット合憲判決[2008年(平成20年)36日]を出した際に『本人確認情報の提供が認められている行政事務において取り扱われる個人情報を一元的に管理することができる機関または主体は存在しない』としています。

この要件を充たすため、次のような制度設計が行われています。

《個人情報の管理の方法》

 情報の管理にあたっては、「個人情報を一元管理する」ものではなく、今まで各機関で管理していた個人情報は引き続き当該機関で管理し、必要な情報を必要な時だけやりとりする「分散管理」の仕組みが採用されます。個人番号をもとに特定の機関に共通のデータベースを構築することはなく、そこから個人情報がまとめて漏れるようなことはないとされています。

出所:内閣官房HP/社会保障改革担当室

《情報連携は符号を使って行う》

 情報連携は、個人番号とは異なる「符号」を使って行われることになります。直接個人番号を使って情報連携を行えば、一元的な管理とみなされるという懸念から、個人番号を使わない方法として考えられたのが符号を使う方法です。

出所:「住民基本台帳法・公的個人認証法の一部改正について 地方公共団体情報システム機構法について」
(平成25321日 総務省自治行政局住民制度課) 

法人番号も導入されます

 今回、個人番号だけでなく「法人番号」も導入されることになっています。法人番号は13で、国税庁長官が番号を指定し、各法人に通知することになっています。法務省が保有する「会社法人等番号」を基礎として付番することになっていますが、その対象は以下のとおりです。

1)国の機関、地方公共団体
2)税務署に開業届け出等を行った法人(または人格のない社団等)
3)付番を求める届出をした法人(または人格のない社団等)

民間企業が行わなければならないこと

 個人番号を取り扱う機関として、次の二つがあります。

1)個人番号関係事務実施者…行政機関等へ個人番号付きの書類を提出する法人
2)個人番号利用事務実施者…それらの書類を受けて業務で個人番号を利用する国や地方公共団体

 民間企業は主に1)「個人番号関係事務実施者」の立場として、個人番号を取り扱うことになります。

 具体的には、社員ごとの所得税の源泉徴収、住民税の特別徴収、社会保険(健康保険、年金、雇用保険)の徴収・手続きなどに関する業務が対象になります。扶養の関係から社員だけでなく家族の個人番号も把握する必要があり、それらを管理できる体制に整える必要があります。

 また、税務署へ提出する「支払調書」(税理士や社労士の報酬、不動産の使用料等)にも支払先の個人番号または法人番号を記載することになります。

出所:内閣官房HP/社会保障改革担当室

個人のプライバシー問題について

 住基ネットの導入に際してプライバシー問題に対応してきた内容を、よりいっそう強化しています。注目したいのは、情報提供記録の自己確認と第三者機関(特定個人情報保護委員会)です。

 前者が「マイ・ポータル」と呼ばれているもので、個人番号カードを使って自分専用のページにアクセスし、自分の情報がいつどの機関からどの機関へ提供されたのかを確認することができます。

 また、行政機関が保有している自分の情報内容の照会、行政機関からのお知らせの受取、申請や届け出を行うことも予定されています。

 ― まとめ ―

 期待と課題が議論されるなか成立した共通番号制度(マイナンバー制度)ですが、税分野に与える影響は大きく、税務代理を預かる立場として電子申告システム e-TAX(国税)eLTAX(地方税)との連携も気になるところです。

 井手税理士・総合会計事務所では、この制度の今後の動向に着目しながら、中小企業様のサポートをはじめ納税者の方への分かりやすいご説明を心掛けていきたいと思います。



《参考リンク》

内閣官房 社会保障改革担当室 社会保障・税番号制度
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/